2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

公平にするのは難しい

学校の数学の授業で、確率のことを習ったときは、サイコロの各目が出る確率は1/6と習った。しかし、これは厳密にいうと正確ではない場合がある、らしい。世の中に出回っているサイコロの中には、数字をあらわす目をくぼみで表している物がある。このくぼみの…

推理小説のような論文。

商売柄、新薬を紹介している論文は目を通すようにしている。雑誌のWebサイトをみれば新着記事は直ぐ分かるし、メールで新着論文のアラートを送ってもらえる雑誌も多い。とても便利な時代になった。注目するのは、どのようなスクリーニング方法で化合物を探し…

双子がいっぱいの学校

国立大学の教育学部には、付属中学校、付属高校があるところが多い。これらの「付属校」と呼ばれる学校は、有名大学への進学率が高く、進学校として知られているところが多い。いまごろ、付属校を目指して受験勉強に追われている子供たちも多いのではないだ…

製薬会社の化合物ライブラリーとアカデミアの化合物ライブラリー

製薬会社には、新薬スクリーニング用の化合物が貯蔵されている。これを化合物ライブラリーと呼んでいる。メガファーマになると、その数は100万のオーダーになるらしい。また、最近では、東大や理化学研究所でも数万個単位の化合物ライブラリーを所有し、アカ…

デッドスペースを少なくした注射器

テルモから、「デッドスペースを少なくした注射器」が発売された。 プレスリリース http://www.terumo.co.jp/press/2009/033.html テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:高橋 晃)は、ワクチン投与などに用いる注射器「FNシリンジ」を、10 月19 日よ…

ペラミビル、実戦投入。

インフルエンザ治療薬の新薬として期待されている「ペラミビル」が、承認前にも関わらず、アメリカにおいて新型インフルエンザ治療のための緊急投与を許可された。http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm187813.htm今回、使用が許可…

分割したら見えないものもある。

今日の昼、iPS細胞発見秘話、ともいうべきテレビ番組をやっていた。京大の山中教授のグループが、iPS細胞作製法を見つけ出すまでの過程のドキュメンタリーで、研究者が見ても非常に興味が持てる良い番組だった。その中のエピソード。山中教授のアイデアは、…

「賢い議論」というのは、結論の真偽で判断するのではない。

「賢い議論」を見聞きするのは気持ちのよいものだ。議論の各論の中身については誤りを含んでいたとしても、「自分の論を認めさせるための論理的方法」という枠で見て、「これは見習わないと」ということも多い。論理展開の誤謬は、間違った前提とは独立して…

養命酒を飲んで運転すると飲酒運転になるのか?

「養命酒」といえば、私の祖父も飲んでいた滋養強壮をうたっている飲み物である。小さいおちょこのようなコップで、チビチビと飲んでいた姿が、今でも思い浮かぶ。医薬品である「薬用養命酒」は、肉体疲労、冷え症、胃腸不良、食欲不振などに効果があるとさ…

変わらない街、変わる街。

先月のフランス出張の時、自分への土産に、滞在したストラスブールの写真集を買った。ストラスブール中心街の現在の風景と19世紀の風景を比較した写真集。19世紀の風景の風景写真と、同じ場所・同じ構図で写真を撮り、100年の間でどんな変化があったかが分か…

高選択的COX1阻害薬TR-L-382

現在、米国で行なわれている学会のアブストラクトを検索していて見つけた演題に、「高選択的COX1阻害薬TR-L-382」というのがある。COX阻害薬の副作用としては胃潰瘍などの消化器潰瘍があまりにも有名だが、この発表では胃潰瘍が起きにくいCOX1阻害薬について…

論文のゴーストライターは是か非か。

学術論文では、実質的に何の貢献もしていないのに著者として名前を載せている「ギフトオーサー(gift author)」が存在する。ギフトオーサーについては、研究者の業績評価につながることから、その是非について多くの議論がなされている。いっぽう、今日初め…

そんな瞬間を見てみたい。

ソニーが360度どの方向からも見える3Dディプレイを試作したそうだ。卓上使用も可能な小型サイズ(直径13cm・高さ27cm)で、家庭での使用も視野に入れている。その試作品の画像がこれ。動画は、ソニーのサイトで10/22に公開される。むかし、ホログラフィーの…

薬の発明と発見。

新薬は、現在はヒトの手によって「発明」されたものがほとんどである。製薬企業がこれまで合成してきた膨大な化合物ライブラリーの中から、新薬の種となる化合物を見つけ出し(これは「発見」とは言わない)、その化合物にさまざまな有機合成反応で修飾を加…

アメリカは常に日本の先を行く?

新型インフルエンザによる子供の死亡者数が増えている。日本では、ここ数日で多くの事例が伝えられるようになったが、アメリカでは事態は深刻らしい。毎年起こる季節性インフルエンザでももちろん死亡例はある。しかし、アメリカの新型インフルエンザの流行…

DPP4阻害薬のチキンレース

日本初のDPP4阻害薬「ジャヌビア」「グラクティブ」(ジャヌビアは万有製薬、グラクティブは小野薬品、いずれも主成分はシダグリプチンリン酸塩水和物)が製造販売承認を取得した。アメリカに遅れること3年。アメリカではすでにブロックバスターとなっている…

親は子には厳しく自分には甘い。

薬の服用の仕方について、親は子供に色々注意するけれども、親自身は薬に服用にルーズであるという調査結果が報告された。 薬事日報より 調査は2009年8月、全国の小中学生の保護者600人を対象に、インターネット上で実施したもの。その結果、子ども…

タミフル予防投与の実情。

今年の5月、神戸で新型インフルエンザが流行したとき、神戸市の病院の勤務者(医療関係者、病院職員)にタミフルの予防投与が行われた。このタミフル予防投与についての調査結果が公表された。 日経メディカルオンラインより。5月16日、神戸市で国内初の感…

誰にでもわかる科学記事を書くことの難しさ。

誰にでもわかる科学記事をかくというのは難しい。記事の対象となるヒトを固定(たとえば、薬学部の大学生、とか)できるなら、ある程度の専門用語を使うことによって、簡潔に文章をまとめることができる。簡潔な文章ほどわかりやすいというのは、至極当然の…

久しぶりの火遊び。

バーベキューを庭でしたのだが、その炭火がきれいだったので、久しぶりの火遊びをしてみた。といっても、ぽかぽかとした炭火の横で、ただぼーっとしているだけなのだが。炭火というのは、見ていて心が落ち着く。暗闇でゆらめくオレンジの炎と黒い炭、ときど…

ブログを2つ持ってみて

メモ書きとして始めたつもりのこのはてなダイアリーも、もう一ヶ月になる。途中、海外出張などもあったが、とりあえず継続することはできた。私は、もう一つブログをもっていて、そちらの方をメインで動かしている。メインブログの方は、もう5年くらい続けて…

風船飛ばしのガイドライン。

娘の幼稚園最後の運動会、開会式で風船飛ばし(バルーンリリース)が行われた。こういうイベントは、昔はよく行われていたが、最近はあまり見なくなった。私も相当久しぶりに見たような気がする。青空に飛び立っていく色とりどりの風船を見て、思わず何枚も…

ノーベル平和賞を決めた演説

オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した。未だ何の功績も挙げず、ただ核軍縮を宣言しただけで賞がもらえたようなものである。ニュースで引用されている、今年のプラハでの演説はyoutubeで見ることができる。核軍縮のくだりは、13分過ぎてからのところである…

ペーパーバックの読み方。

洋書のペーパーバックを読むのが日課になっている。今読んでいるのは、Tom Clancyの"THE CARDINAL OF THE KREMLIN"。ばりばりのスパイ小説である。Tom Clancyの小説は、日本語訳でも読んでいるが、この作品はなぜか読んでいない。だから初見であるが、登場人…

ノーベル生化学賞。

今年のノーベル化学賞は、「for studies of the structure and function of the ribosome」に対して与えられた。タンパク質合成に関わる細胞内器官「リボゾーム」の構造と機能解析、というのが受賞内容である。これは、高校の教科書で言えば、化学の教科書で…

プリンと比重と表面張力。

世の中で売っているプリンは、なぜカラメルが下なのか。素朴な疑問だが、これまで調べようとしたこともなかった。で、たまたま見かけたのがこんな記事。http://netallica.yahoo.co.jp/news/95552 ではなぜ、もともとカラメルを下にしているのか。重さの違い…

ジョンとリックの会話

科学的発見というのは、別々の研究室から同時に同じ雑誌に報告されることということが時々ある。私は、アカデミックの人間ではないので、その裏側にどのようなことが起こっているのかはわからない。ただ、こんな会話が行われているとしたら。。。引用元 www.…

ミニ提灯収集のすすめ。

テレビで、ヨーロッパのお土産を集める特集をやっていた。ヨーロッパの観光地では、観光地にちなんだマグネットが定番のお土産らしい。そういえば、先日のフランス出張でも、観光地のお土産屋で何種類かマグネットを見かけた。日本の観光地では、まだそれほ…

頭って、薬でよくなるの?

海外の学生に、「頭がよくなる薬」というのが流行しているそうだ。「スマートドラッグ」や「ヌートロピクス(Nootropics)」などと呼ばれており、代表的なものとしてピラセタムという物質がよく服用されているようだ。このピラセタムは、厳しい規制がかけられ…

オバマ大統領のプレゼンはかっこいい。

オバマ大統領のプレゼンはかっこいい。オリンピック招致演説を少し聞いたのだが、中身はたいしたことないのに、凄く心に残る話し方をする。原稿は、もちろんスピーチライターが頭をひねってかいたのだろうが、その話し方が中身をより大きく膨らませ、聞く側…