変わらない街、変わる街。

先月のフランス出張の時、自分への土産に、滞在したストラスブールの写真集を買った。

ストラスブール中心街の現在の風景と19世紀の風景を比較した写真集。19世紀の風景の風景写真と、同じ場所・同じ構図で写真を撮り、100年の間でどんな変化があったかが分かるようになっている。

見開きの左右に現在の写真と昔の写真が載っているのだが、その風景が全く同じである。カラーかモノクロかの違いだけで、建物は全く一緒。街並まで見分けがつかない。そんな写真ばかりで、一冊の本が出来ている。説明書きによれば、第二次世界大戦時にストラスブール中心街は空襲で焼けたのだが、空襲で焼けた建物をできるだけ正確に復元して街を作りなおしたらしい。歴史と伝統を重んじる、ヨーロッパらしいやり方だ。

日本にも同じような写真集がある。しかし、日本の場合は「100年でこんなに変わった」というのを驚き、楽しみ、古きを懐かしむことが本の目的である。戦争で丸焼けになった街は、戦後全く違う街になった。同じ戦後でも、この数十年で街の風景は、めまぐるしく変わっている。日本人の心の底に流れる「諸行無常」の現れなのだろうか。

まぁ、私は昔を懐かしむのが好きなおじさんなので、ずっと変わらない街よりも、移り変わっていく街の方が好きだったりもする。変化があるからこそ、昔が懐かしく思えるのであり、これからが楽しく思えるのだ。