デッドスペースを少なくした注射器
テルモから、「デッドスペースを少なくした注射器」が発売された。
プレスリリース
http://www.terumo.co.jp/press/2009/033.html
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:高橋 晃)は、ワクチン投与などに用いる注射器「FNシリンジ」を、10 月19 日より全国の医療機関向けに新発売いたします。希望小売価格は、1箱280 本入りで16,758 円(税込)です。FNシリンジは、注射器と針の接続構造を工夫し、針を注射器に植え込むことによって、筒先に薬液が残るデッドスペース*を少なくした注射器です。これにより注射器への充填量を減らすことが可能となり、薬液を0.5mL 接種する場合、約10%の節約効果が期待できます。(当社従来品比較)
また、このFNシリンジは、新型インフルエンザ対策に貢献できる製品として、3 ヶ月という早さで製造販売承認を取得いたしました。
今月より月100 万本の生産を開始し、順次医療機関へ提供してまいります。
デッドスペースとは日本語で「死腔」。
注射器の場合、注射器に薬液を所定の目盛まで吸い上げる時には、実際には目盛の量よりも多くの量を吸い込まなくてはいけない。内筒(ピストン)を完全に押し切っても、内筒と注射針の間のスペースには薬液が残るからだ。
この薬液の体積をデッドスペースと呼んでいる。デッドスペース分の薬液は、使われることなく無駄になる。使い捨ての注射器の場合、デッドスペースx本数分の薬液をみすみす捨てることになる訳だ。
私たちが動物実験で使っている注射器は、基本的に臨床で使われている物と同じである。貴重なスクリーニング用化合物をできるだけ有効に使いたいので、デッドスペースに関しては非常に気になっていた。
微量注入用のシリンジでは、極限までデッドスペースを減らした物もある。しかし、これらは使い捨ての物ではなく、動物の静脈内投与に気楽に使えるレベルの物ではない。
だから、このような注射器は凄くありがたい。研究所の備品になったりしないだろうか。