ペラミビル、実戦投入。

インフルエンザ治療薬の新薬として期待されている「ペラミビル」が、承認前にも関わらず、アメリカにおいて新型インフルエンザ治療のための緊急投与を許可された。

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm187813.htm

今回、使用が許可されるのは、下記のいずれかに該当する場合。
1)経口、吸入による治療に反応しない(タミフルリレンザが効かない)場合
2)静脈内投与以外の投与が不可能な場合
3)他の要因で、静脈内投与が必要だと医師が判断した場合

(1、2は小児も可、3は成人に限る)

ペラミビルは、静脈内に注射する薬剤であるので、飲み薬や吸入薬が使えない重症の患者の治療に使うことができる。同じノイラミニダーゼ阻害薬「リレンザ」の静脈内投与が、重症インフルエンザ患者に対し劇的な効果を上げていることから、ペラミビルの効果も充分に期待できる。

アメリカでは、承認前の薬剤でも、やむを得ない緊急の事態であれば投与を可能にできる手続きが存在する。Emergency Use Authorization(EUA)と呼ばれるもので、アメリカにおける医薬品についての許認可をとりしきるFDAによって発令される。バイオテロや新型感染症などの国家的危機において用いられることになっている。

ペラミビルの場合、臨床試験により薬効と安全性は確認されていることから、速やかなEUA行使となったようだ。

新型インフルエンザに対するEUAとしては、「1歳以下の乳児に対するタミフルの使用」などの例もある。しかし、承認前の完全な新薬の使用というのはずいぶん思い切った判断だと思う。

ようやく、本腰を入れたと言うところか。一度動き出すと、アメリカは早い。

日本では、このような制度ははたしてあるのだろうか。今の厚生労働省の動きを見ていると、例えあったとしても機能しないのではないか。